ポジショニング戦略は、製品の成功を左右する。ポジショニングによって製品に対する消費者の認識、市場における立ち位置も変わり、他社ブランドとの差別化にもつながる。
Eコマースの台頭により購買の選択肢が無限に広がった結果、消費者の注目と消費を無数の競合他社と奪い合うことは避けられない。このことから、特にオンライン市場では、プロダクトマーケティングがより重要な意味を持つようになった。
最後に実店舗を訪れたときのことを思い出してほしい。恐らくレジに進む前に、商品に触れたり、匂いを嗅いだり、実際に試してみたりしたはずだ。しかし、そのような感覚的な体験は、PCやスマホからはできない。このため、買い物客がカートに追加するボタンを押す前に参考にするのは、パッケージ画像や説明文、レビューなどである。
製品には、消費者に正確な印象を与えるためのメッセージが必要だ。そのためには、SKUの魅力を伝える訴求および製品特性が大きな意味をもつ。しかし、どの訴求メッセージを選べば良いのか、どのような製品特性が消費者に響くのか、といった疑問を抱くことだろう。
その答えを見つけるためには、まず消費者トレンドと製品特性トレンドを合わせてパフォーマンスを測定することだ。そうすることで、次のビジネスチャンスを見出すことができる。
ここで、ポジショニング戦略を向上させるのに役立つ2つのツールを紹介する。これらを組み合わせることで、消費者ニーズや、需要が高い製品について、強力なインサイトが得られるだろう。
消費者トレンド
消費者の新たな期待に応える製品を提供するためには、進化する消費者行動を常に把握し続けることが必要不可欠である。我々の価値観やニーズは、我々を取り巻く世界ともに変化している。企業・ブランドが5年前に掲げていた優先順位は、ほぼ間違いなく今日のそれとは異なり、今後数年間でさらに変化することだろう。これは消費者にとっても同じことである。
では、どうすればトレンドを把握することができるのか。まず、顧客分析や購買パターンを見直してみると、どの商品(もしくはどのような訴求や機能)が売れ筋なのか、また、どのタイプの製品が顧客に求められているのかを知ることができるだろう。消費者の異なるライフスタイル、価値観、購買習慣を見分けるには、サーベイ調査データも貴重な情報源である。また、Google Trendsからは、人気や関心を集めている製品訴求や特性についてのインサイトをも得ることができる。
最新の消費者行動や市場の動向を把握するためには、トレンドレポートが有用だろう。何から読むべきか迷っているのであれば、「2023年世界の消費者トレンドTOP10」レポートをおすすめする。毎年、ユーロモニターの業界エキスパートが、消費者嗜好や購買動機の大きな変化を特定している同レポートは、企業がカスタマーエクスペリエンスを向上させ、効果的な投資を計画するのに役立つはずだ。
プロダクトデータ
企業にとって、広大なオンライン市場ではどのような製品が販売されているか、どのような製品が売れているのか、を継続的に追跡する必要性が高まっている。しかし、それは「どの製品が」だけではなく、製品訴求、価格、製品の詳細情報、買物客の評価も同様である。
Eコマースのデータを活用することは、従来の実店舗型チャネルからのデータと比較しても、非常にメリットが大きい。なぜか?それは、テクノロジーを利用することで、店舗での調査では不可能な、数千の小売業者で売られているひとつひとつの商品の情報を全て収集し、まとめることができるからだ。 ユーロモニターの「Via」のようなEコマースのデータを抽出し、データサイエンスソリューションを提供するツールを利用することで、日次、週次、月次ベースで新製品の登場と消費者趣向の変化をタイムリーに追跡することができる。消費者ニーズと製品特性のトレンドをあわせて考えつつ、特定の訴求をするSKUの数、その増加率、その訴求がオンライン市場全体に占める割合を測定することは、市場の潜在力を判断することに役立つ。
また、製品特性を定量化することで、そうした製品の供給が促進されている要因や、動きの変化を把握することができるため、自社の製品ポートフォリオを最新の状態に保ち、近い将来のトレンドを察知することができる。
ポジショニング戦略を改善するためには
このように、消費者トレンド分析とオンラインプロダクトデータを組み合わせることで、新たなビジネスチャンスを見出すことが可能となる。さらにこうした戦略的および戦術的なインサイトと市場調査を組み合わせることは、以下のような取り組みを実行するうえで役立つだろう:
- ブランドのキーメッセージをより効果的に伝えるためのリポジショニング
- 流行りの成分や要素を取り入れるための製品改良
- ホワイトスペースが存在する領域への新製品投入
ユーロモニターの最新プレイブックでは、消費者の要望にマッチする商品特性を選択し、追跡する方法を3ステップで説明している。想定されるビジネスケースを通して解説されているため、実際のプロセスを想定し、自社のポジショニング戦略に当てはめることが可能だ。オンラインで販売している製品の存在感と売上を向上させるためのリソースとして、活用いただけることだろう。