シニア層がソーシャルコマースを積極活用、ミレニアル世代を上回る成長率
英国の市場調査会社ユーロモニターインターナショナル(以下、当社)は、レポート「デジタル革命:世界に広がるソーシャルメディアの現状」を発表しました。

- ベビーブーム世代のソーシャルコマース活用が増加、コロナ禍を経て加速
- 世界では4人に1人がソーシャルコマースを活用、日本ではまだ控えめ
- ソーシャルコマース売上はEコマース全体の3%に、2029年には5%超へ
- SNS利用者のインフルエンサーへの信頼、インスタグラムで最大の下落 ──商業色の強い投稿への疑念が背景に
ベビーブーム世代のソーシャルコマース利用、4年間で3ポイント増加
当社の実施した「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:ライフスタイルサーベイ」(40か国、各国約1,000名を対象に毎年実施)によると、2024年には、回答者の26.0%が過去半年以内にソーシャルコマース(※)を利用していることが明らかになりました。ソーシャルコマースはコロナ禍を経て急速に普及しており、この数字は2020年比で3.2ポイントの増加となっています。
(※)ソーシャルコマース:SNS(インスタグラム、TikTokなど)が購買のプラットフォームとなるEコマースの販売形態。SNS上で行われるライブコマースも含まれる。
2020年と2024年の回答を世代別で比較すると、Z世代が最大の増加(3.9ポイント)を記録した一方、ベビーブーム世代の3. 0ポイント増も目立っています。
現代のシニア層はオンライン活用の幅が広がっており、SNSコンテンツの閲覧や価格比較、商品レビューのチェックなどをより積極的に行うなど、オンラインリテラシーが向上していることが背景にあります。ミレニアル世代(2.2ポイント増)、X世代(1.3ポイント増)の増加は、ベビーブーム世代よりも控えめとなっています。
過去半年以内にSNS上で買い物をしたと回答した人の割合
(世界・世代別)(2020年と2024年)
日本国内においては、2024年の利用率が8.3%と、世界平均の26.0%に比べて低い水準にとどまっています。ただし、2020年の5.0%からは3.3ポイント増加しており、今後ソーシャルコマースの導入や普及が進むにつれて、利用者の増加が期待されます。
Eコマースに占めるソーシャルコマースの比重、今後さらに上昇へ
ソーシャルコマースの売上は世界的に伸びていて、2019年から2024年の年平均成長率は39%で、2025年にも22%の成長が見込まれています。また、2024年には、ソーシャルコマースがEコマースの売上全体の3%を占めていましたが、2029年までには5%を超えると予想されています。Eコマースにおけるソーシャルコマースの割合が高い地域は、西欧及びアジアです。
Eコマース売上に占めるソーシャルコマースの売上の割合
(地域別)(2019年~2029年)
インフルエンサーは購買行動の鍵、しかし信頼度は低下傾向
インフルエンサーは依然として消費者との関わりにおいて重要な存在ですが、以前よりも信頼されにくくなっています。もともとは信頼できる情報源と見なされていましたが、ソーシャルメディアの商業化が進む中で、現在では懐疑的な見方をされるようになっています。
当社の実施した「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:デジタルサーベイ」(20か国、各国約1000名を対象に毎年実施)によると、インフルエンサーの投稿を見て商品を購入した消費者の割合を2020年と2024年で比較すると、インスタグラム利用者の間で最も大きく減少し、36.6%から23.8%へと12.8ポイント減少しました。次いでYouTube利用者の間では10.2ポイント(29.6%から19.4%)、Facebook利用者の間では9.4ポイント(33.0%から23.6%)の減少が見られました。
この傾向は、コンテンツが本当に信頼できるものなのか、それとも単なる広告なのかを、消費者がより慎重に見極めようとしていることを示しています。
前の月にSNSを利用したと回答した人のうち、
インフルエンサーの投稿を見て商品を購入した消費者の割合(2020年と2024年)
同レポートの執筆者であるシニアコンサルタント、マリヤ・ミラセヴィッチは次のように述べています:「企業は信頼を築き、本物のエンゲージメントを促すために、マイクロインフルエンサーとの連携を優先すべきだ。マイクロインフルエンサーは、大規模なインフルエンサーに比べてエンゲージメント率が高く、費用対効果にも優れ、発信内容にもより真実味がある。これは、彼らがニッチなフォロワー層を持ち、コラボレーションも慎重に選んでいるからだ。多くの場合、地域に根ざした信頼できる専門家として見なされており、コミュニティの中で自然なつながりを生み出している」
より詳しい事例やデータをお探しの方は、「デジタル革命:世界に広がるソーシャルメディアの現状」(Digital Disruptors: The Global Landscape of Social Media) をご覧いただくか、弊社までお問い合わせください。
– 以上 –
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ユーロモニターインターナショナルについて
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