シニア層がソーシャルコマースを積極活用、ミレニアル世代を上回る成長率

英国の市場調査会社ユーロモニターインターナショナル(以下、当社)は、レポート「デジタル革命:世界に広がるソーシャルメディアの現状」を発表しました。

24 June 2025 Tokyo
  • ベビーブーム世代のソーシャルコマース活用が増加、コロナ禍を経て加速
  • 世界では4人に1人がソーシャルコマースを活用、日本ではまだ控えめ
  • ソーシャルコマース売上はEコマース全体の3%に、2029年には5%超へ
  • SNS利用者のインフルエンサーへの信頼、インスタグラムで最大の下落 ──商業色の強い投稿への疑念が背景に


ベビーブーム世代のソーシャルコマース利用、
4年間で3ポイント増加

当社の実施した「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:ライフスタイルサーベイ」(40か国、各国約1,000名を対象に毎年実施)によると、2024年には、回答者の26.0%が過去半年以内にソーシャルコマース(※)を利用していることが明らかになりました。ソーシャルコマースはコロナ禍を経て急速に普及しており、この数字は2020年比で3.2ポイントの増加となっています。

(※)ソーシャルコマース:SNS(インスタグラム、TikTokなど)が購買のプラットフォームとなるEコマースの販売形態。SNS上で行われるライブコマースも含まれる。

2020年と2024年の回答を世代別で比較すると、Z世代が最大の増加(3.9ポイント)を記録した一方、ベビーブーム世代の3. 0ポイント増も目立っています。

現代のシニア層はオンライン活用の幅が広がっており、SNSコンテンツの閲覧や価格比較、商品レビューのチェックなどをより積極的に行うなど、オンラインリテラシーが向上していることが背景にあります。ミレニアル世代(2.2ポイント増)、X世代(1.3ポイント増)の増加は、ベビーブーム世代よりも控えめとなっています。

過去半年以内にSNS上で買い物をしたと回答した人の割合
(世界・世代別)(2020年と2024年)

ソーシャルコマース

日本国内においては、2024年の利用率が8.3%と、世界平均の26.0%に比べて低い水準にとどまっています。ただし、2020年の5.0%からは3.3ポイント増加しており、今後ソーシャルコマースの導入や普及が進むにつれて、利用者の増加が期待されます。

 

Eコマースに占めるソーシャルコマースの比重、今後さらに上昇へ

ソーシャルコマースの売上は世界的に伸びていて、2019年から2024年の年平均成長率は39%で、2025年にも22%の成長が見込まれています。また、2024年には、ソーシャルコマースがEコマースの売上全体の3%を占めていましたが、2029年までには5%を超えると予想されています。Eコマースにおけるソーシャルコマースの割合が高い地域は、西欧及びアジアです。

Eコマース売上に占めるソーシャルコマースの売上の割合
 (地域別)(2019年~2029年)

ソーシャルコマース

 

インフルエンサーは購買行動の鍵、しかし信頼度は低下傾向

インフルエンサーは依然として消費者との関わりにおいて重要な存在ですが、以前よりも信頼されにくくなっています。もともとは信頼できる情報源と見なされていましたが、ソーシャルメディアの商業化が進む中で、現在では懐疑的な見方をされるようになっています。

当社の実施した「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:デジタルサーベイ」(20か国、各国約1000名を対象に毎年実施)によると、インフルエンサーの投稿を見て商品を購入した消費者の割合を2020年と2024年で比較すると、インスタグラム利用者の間で最も大きく減少し、36.6%から23.8%へと12.8ポイント減少しました。次いでYouTube利用者の間では10.2ポイント(29.6%から19.4%)、Facebook利用者の間では9.4ポイント(33.0%から23.6%)の減少が見られました。

この傾向は、コンテンツが本当に信頼できるものなのか、それとも単なる広告なのかを、消費者がより慎重に見極めようとしていることを示しています。

前の月にSNSを利用したと回答した人のうち、
インフルエンサーの投稿を見て商品を購入した消費者の割合(2020年と2024年)

ソーシャルコマース

同レポートの執筆者であるシニアコンサルタント、マリヤ・ミラセヴィッチは次のように述べています:「企業は信頼を築き、本物のエンゲージメントを促すために、マイクロインフルエンサーとの連携を優先すべきだ。マイクロインフルエンサーは、大規模なインフルエンサーに比べてエンゲージメント率が高く、費用対効果にも優れ、発信内容にもより真実味がある。これは、彼らがニッチなフォロワー層を持ち、コラボレーションも慎重に選んでいるからだ。多くの場合、地域に根ざした信頼できる専門家として見なされており、コミュニティの中で自然なつながりを生み出している」

より詳しい事例やデータをお探しの方は、「デジタル革命:世界に広がるソーシャルメディアの現状」(Digital Disruptors: The Global Landscape of Social Media) をご覧いただくか、弊社までお問い合わせください。

– 以上 –

企業・組織関係の方のお問い合わせ先: 
ユーロモニターインターナショナル 東京オフィス
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Tel: 03-3436-2100 mayu.hanazaki@euromonitor.com

ユーロモニターインターナショナルについて 
ユーロモニターインターナショナルは、英国ロンドンに本社を置くグローバル市場調査会社です。世界16か国にオフィスを構え、100か国に現地アナリストを配置し、市場分析レポートや最大世界210か国を網羅するデータベース、そしてカスタマイズ化されたコンサルティング調査をもって、企業の皆様の、いつ、どこで、どのようにビジネスを成長させるべきかという意思決定のお手伝いをしています。戦術的(Tactical)かつ戦略的(Strategic)である当社の調査ソリューションは、最新のデータ分析技術を利用、都市圏単位からグローバル市場までをカバーし、世界市場の様々なトレンド・成長要因に関する情報を提供することで、事業における優先順位の見極めや仮説の見直し、潜在的なビジネス機会の発見にお役立ていただけます。 

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