政治や社会、テクノロジーが目まぐるしく変化するなかで、海外市場でブランドを成功に導くためには、従来の「属性」に基づいたターゲティングだけでは不十分です。
今、求められているのは “消費者中心の戦略”-その核となるのが、消費者セグメンテーションです。まずは、3分間の日本語字幕付きビデオで概要をご覧ください。
消費者セグメンテーションの4つの基本要素
ユーロモニターでは消費者セグメンテーションを、主に以下の4つのカテゴリーに分類しています。
- 地理的セグメンテーション(例:国、地域)
- 人口統計的セグメンテーション(例:年齢、性別、所得)
- 心理的セグメンテーション(例:価値観、ライフスタイル、性格)
- 行動的セグメンテーション(例:購買頻度、ロイヤルティ)
これまで多くの企業は、年齢や居住地といった目に見える属性に注目してきました。
しかし、特にグローバル市場において、こうした基本的な人口統計情報だけでは、現代の消費者の複雑な行動を十分に理解することはできません。
そのため、年齢や所得などの指標に加えて、消費者がどのような価値観を持ち、どのようなライフスタイルを送り、何に動機づけられて行動するのかといった理解が、これまで以上に重要になっています。
消費者セグメンテーションの活用事例
以下は、企業やブランドがデータに基づく消費者セグメンテーションを構築する際の活用シナリオの一例です。
1. 小売業:地域ニーズに即した在庫とマーケティング戦略の最適化
ある小売企業では、地域ごとの消費者ニーズにより適合させることで、在庫管理およびマーケティング戦略の最適化を目指しています。
この目的を実現させるには、以下のような複合的なデータ活用が有効です:
- 人口統計および社会経済データ:
- 年齢層
- 宗教分布
- 都市別の人口構成
- 家計の可処分所得(世帯単位または一人当たり)
- 商品カテゴリー別の消費支出
- 消費者調査を活用した購買行動に関するインサイト:
- 購買チャネルの好み(例:実店舗 vs オンライン)
- 購買の意思決定に影響する商品特性
- 特定の機能に対する支払意思
このように多角的な視点でデータを活用することで、地域ごとのニーズに合った商品を的確に提供でき、プロモーション施策の質も向上します。
2. 自動車業界:新興中間層の攻略による成長機会の創出
ある自動車メーカーでは、新興国市場において中間所得層をターゲットに、市場シェアの拡大を目指しています。
以下のステップにより、ターゲットの明確化と市場規模の把握が可能になります:
- 「中間層」の定義付け:
- 国内の世帯所得中央値の75~125%を得ている世帯
- 市場ポテンシャルの評価に活用するデータ:
- 国別の世帯可処分所得の中央値
- 対象市場における中間層世帯の総数および構成比率
この事例は、単なる人口規模ではなく、「所得階層」に基づくセグメンテーションによって、意外な成長市場を見出せることを示しています。
たとえば、中国やインドのように人口が多い国だけでなく、中間層の密度と購買力の観点からは、ポーランドのような国が有望市場として浮かび上がるケースもあります。
次のステップ:“今の消費者”を正しく理解する
効果的なセグメンテーションは、正しいデータに基づく理解から始まります。
セグメンテーションの手法を見直し、改善するヒントは、フル動画「[Opportunity Minded] Do You Need to Rethink Consumer Segmentation?」で紹介しています(英語のみ)
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